ゆるふわ日記

ゆるふわだよね。

不味い麺を啜りながら

行きつけのラーメン屋で微塵の興味もない野球中継を眺めながら伸びきった麺を啜る。金曜の夜だ。隣に座っていた知らない髭面のおっさんが話しかけてきた。俺の食ったラーメン代、払っといてくれ。そいつはそう言ってからのそのそと店を出ていった。俺は残り…

退屈で孤独な就活日記

僕は臆病者で、劣った人種だ。誰も僕のことを相手にしないし、目も合わせない。弱い人間である僕は、できるだけ他人の目に触れない様に細々と生きることしかできない。ある日、部屋でダンスを踊っていると、見知らぬ女が殴り込んできた。どうやら部屋を間違…

ニューヨーク・ドリーム

シャボン玉が時速二百キロで射出され、爆発し、街に住む二十万の人間が死んだ。テレビのニュースでも大きく報道され、新聞の一面を飾った。「シャボン玉、爆発」次のページを開くと馬鹿げた四コマ漫画が載っていた。一コマ目で人間が死に、二コマ目で人間が死…

かわいいネコ

「死ぬから。本当に死ぬから」彼女はそう言ってから電話を切った。俺はゲーセンで三十分ほど時間を潰してから彼女の家に向かった。生きている彼女と会話するのはクソ面倒だが、どうせなら彼女の死体は見ておきたい。そうして俺は無事彼女の死体と対面すること…

食事

ゴミ溜めで寝ているおっさんがかわいく見えた。その頃の僕といったら虐殺しかすることがなかった。おっさんは毎日ゴミ溜めで寝ている。僕が住んでいるのが二丁目でおっさんが寝ているのは三丁目だ。三丁目に住む人たちがゴミを捨てるところにおっさんは寝て…

幼女は爆発せよ!

幼女が爆発して散乱した!奇跡的な体験だ!神に感謝しよう!目の前で起きたこの奇跡に!幼女は爆発しました!まっ透明な肌と生まれた時から明い色の髪!焼け焦げてまっ黒くなって!爛れて燃えて、散乱する!綺麗な目ん玉飛び出してな!かわいいワンピースも…

濡れる

重い空気、頭痛、冷気、窓のくもり、水滴。犬は犬小屋へ。暗い。うねった髪の毛。建物の中へ駆け込む者達。脳を介さず通り抜ける言葉。眠気。机に、手すりに、窓枠に掛けられた傘。床に横たわる、あるいは円筒状に詰められた何本もの、傘。溜まるもの、貼り…

面白いラジオ

あの人ったら、急に頭のネジが外れて、実況のないラジオ競馬が聴きたいとか言い出して、チャンネルはニッケイに合わしてな、それから音量をゼロにしてそんでイヤホン耳に突っ込んでしばらくは目つむって集中してたんやけど、今度はだめだとか負けたとか騒い…

食べられる野菜リスト

僕が食べることのできる野菜をまとめています。ここに書かれていない野菜は食べられません。参考にしてください。 枝豆 缶詰のトウモロコシ スイカ メロン イチゴ ポップコーン フライドポテト ポテトチップス カボチャプリン(審議中) キャベツ太郎(審議中) …

きみ

フォークがあって、その四つある先端のうち、いちばん右側の先端で、とうもろこしの粒をひとつずつ刺して、ひとつずつ食べるきみがある。きみといったら肉塊の、その牛だか豚だかの肉塊の、その上に乗っかってる、というかもたれてる、というかだらしなく寝…

終夜列車が降る

終夜列車が降る。透明な瓶の透明じゃない部分で惑星を叩く。雨は少しあなたを濡らした。月は路肩に落ちている。別れがあなたの口から漏れた日に。終夜列車は降った。わたしをすこしかすめて。空のずっと向こうの方から。ただ無数の悲しみを連れて。消えるこ…

割れる

月に向かって石、投げて本気で当たると思ってる。そしたらちゃんと糸かなにかが切れて落ちてくると、思ってる。 公園に、時計があった。すごく背の高い時計。その時計のどまんなかに石、投げて当たると針がちょうど一分すすんだの。それを面白がって僕、ひと…

降りそうだ

てるてる坊主を育てていたんだ。水槽の中で。でもね、死んだよ。あいつ、泳げなかったんだ。水槽の中で溺れ死んだ。たぶん呼吸ができなかったんだね。そしたらね、降ったよ。やっぱり降った。あいつのせいだよ。死んじゃえばいいのに。もう死んでるんだけど…

ゆるふわ日記です。

十二月。肌を突き刺す冷気。やる気のない太陽。ただ悪戯な風。でかい犬。首のあたりを紐で繋がれた二匹のでかい犬。金色の犬と白い犬。裸で裸足で寒くないの不思議。煙突から出て天に達して空を覆った煙。太陽の死。落ちる雨粒。傘を開く通行人。傘を開かな…

正義の完成

春を札束に変えた女は乳母車を線路に置いた。一瞬の虚構の快楽によって創造された忌わしい物体を一瞬のうちに無限の快楽へと変えるためだ。乳母車には最上の装飾を施した。花柄模様の布を取り付け、中には色とりどりの花を丁寧に置いた。絶えずいい匂いのす…

架橋の反映

海の端というか海の終に架かる橋の上を歩く二人がいた。気温は低かった。二人はおそらく恋人の契を交わしたか交わしていないかともかく至極親密な関係であろう。その日は天気がよくて星空を覆う雲というか星空に覆われる雲というかとにかくそのあたりから雫…

夏休みの島

この島の海はすべてソーダ水です。この島は毎日が水曜日だけど、ここはずっと夏休みなのでいつもお休みです。この島ではゆったりと時間が流れます。この島はすべてがまっしろです。 ある日、貝殻を集めながら白い砂浜をお散歩していると、自動販売機さんが元…

ある日のこと

きっとぼくら世界が虹色になったそんな世界でぼくら虹色になった。ある日の帰り道ぼくら帰ることをしていた。ぼくら帰ることをしていたのはただの帰り道だった。ぼくらそんな帰り道で頭の中にピアノの音を持っていた。ピアノの帰り道はそれでぼくら彩られた…

火曜の晩

火曜の晩、地獄の判事である私は神秘不可思議な衝動を神から与えられた。正しく忌むべき罪人を裁く権利を手にしたに等しい。私は神より授かりし処刑の令状を片手に火曜の晩の酒場街を見回っていた。火曜の晩にはそれが火曜の晩であるにも拘らず、炎に集う害…

信号

歩く男は青色に光っては消え光っては消えを繰り返し、暫くすると赤ワインの海へ沈んだ。目の前を秒速三十万キロの光るものに引かれて時速六十キロの光らせるものが通過した。どこかで機械の鳥が一度鳴いたきり、洞窟の出口は閉ざされた。誰かが透明な釣り糸…

冷たい夜の

夜道をひとり歩いていた。すると暗い道の端で溶けているひとりの少女がいた。 「どうかしたのか」 話しかけた。急いではいなかったためだ。 「体が溶けてしまっているの」 少女の体は溶けていた。既に腰から下は溶けてなくなっていた。うーん、と、僕は困っ…

惑星のかけら

緑のスカート揺らして 都会の人混み駆け回る スキップで地面蹴飛ばして 口笛で誤魔化した 緑のスカート濡らして 都会の路地裏寝転ぶ イヤホンで耳ふさいで 狭い空見上げた 集めたティッシュも 落としたコインも 燃やした写真も ぜんぶどうでもよくなった 耳…

夏になってしまった

暑い。 この季節になると地元で花火大会があって、毎年家の窓からそれをみる。性別の違う人と一緒に花火をみようと誘ってみたりしたこともない。窓から外を見ると目の前には僕が通っていた小学校の中庭やうさぎ小屋があって、花火大会の日はその上に大きな花…

星間飛行

ツーツーやあやあ久しぶり、こんばんはどうだいそっちの様子は、暮らしはどうだい食っているかね、そっちとはこっちかい地球のことかね、まあまあこれはこれは遠くからわざわざ、だけどこっちはこんにちはだねいやおはようございますかな、なんて地球はどう…

五月は蘭淡のために

ぽかぽかというより陽射しの針が痛いこと痛いこと、すっかり木々は青々と、茂って、ああ、これは夏だなと。それは小鳥たちが恋人を呼ぶ声であったり、風が木々を奏でる音であったり、それはそれは暖かな憂鬱が。海のある街に行ってみたいとそう感じる季節に…

a reoferv in the snow

マフラーで君を絞め殺して雪の下に埋めた。片方の手袋をなくしたから。雪の様にまっしろな君の美しい顔には血の一滴すら感じられなかった。それは太陽の見えない日。かじかんだ手を温めあった。長靴を履いてふたり学校へ行った。水滴のついた窓硝子につくっ…

まどろみ

憂鬱な春が終わって憂鬱な夏になるのを感じる。春は失う季節だって誰かが言っていたね。生まれてからずっと春で、失うことでしか幸せになれない人のことをどうか忘れないで。夏の雲は流れると言うより泳ぐかな。だからそれは水しぶきで、夏の雨は嫌いじゃな…

落花

二本の鎖に繋がれた板が揺れると二秒前まで静止画であったその風景は筆を持って今度は私の心をカンバスへと変えてしまうが、時に荒々しく、時に静かに、しかし如何の場合でも確かに、その筆の毛の一本一本は鋭い針金に成り得るのだ。緑色の炎に焼き尽くされ…

花屋の小娘を撲殺しようと店先まで出向いた。小娘はちょうどひとりで店番をしている最中である。小娘は私に気付くと緊張と恐怖が入り混じった何とも醜い顔面をこちらに向けた。拳を固く握りその既に腫れ上がった顔面を思い切り叩いてやる。店先に甲高い絶叫…