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ゆるふわ日記

ゆるふわだよね。

濡れる

 

 

 

重い空気、頭痛、冷気、窓のくもり、水滴。犬は犬小屋へ。暗い。うねった髪の毛。建物の中へ駆け込む者達。脳を介さず通り抜ける言葉。眠気。机に、手すりに、窓枠に掛けられた傘。床に横たわる、あるいは円筒状に詰められた何本もの、傘。溜まるもの、貼り付くもの、滴るもの、零れるもの、落ちるもの、弾けるもの。閉鎖的、虚無的、感傷的。及び神秘的、幻想的。沁みてゆく、吸収され、それは濡れる。音となり、匂いとなり、光となる。家路を歩く者、あるいは立ち止まってどこかを眺める者。屋根の下で激しく傘を振る者、窓の内側でコーヒーを啜る者。あらゆるものも、全て包まれている。そしてどんなものも、全て憂鬱だ。列車を待つ学生も、ゴミを漁る浮浪者も、今日は全て憂鬱だ。ひとつの線の様にも見えるし、ひとつの点の様にも見える。形を変え、姿を変え、留まり、流れ、落下する。指の先で窓をなぞる。異国の文字が、誰も知らない文字が、浮かびあがって、ゆっくりと消えてゆく。全ては濡れて、全ては包まれ、そして全てが憂鬱だ。気だるく、眠く、憂鬱だ。全ては濡れて、全ては冷えて、やがて全ては消えてゆく。遠い遠いまどろみの底へ。