ゆるふわ日記

ゆるふわだよね。

ニューヨーク・ドリーム

 

 

シャボン玉が時速二百キロで射出され、爆発し、街に住む二十万の人間が死んだ。テレビのニュースでも大きく報道され、新聞の一面を飾った。「シャボン玉、爆発」次のページを開くと馬鹿げた四コマ漫画が載っていた。一コマ目で人間が死に、二コマ目で人間が死に、三コマ目で人間が死に、四コマ目で人間が死ぬ。俺は腹を抱えて笑ったし、新聞を丸めて捨てた。ゴミ箱の中に空き缶が落ちていた。正確にはゴミ箱の中に落ちている缶は大概空き缶なので俺は勝手にそれが空き缶であると判断し、拾って投げた。当然、空き缶は通行人に当たって爆発する。通行人は死に、内蔵が飛び散り、こいつが朝に食べたであろう米や麺が大量に出てきた。それを見て早速腹が減ってしまう。俺はファミリー・レストランに入店し、ファミリーで来ている客を皆殺しにしてからそいつらの肉を食べた。店員は最初は引いていたが、慣れるとバーベキュー・ソースや塩を用意してくれた。俺は醤油を五リットル飲んで死んだ。明くる日、俺は次の人生へとシフト・チェンジしていた。鏡を見ると醜い顔の中年男性の姿が写っていた。俺はこの人生が嫌になって全裸で街を徘徊した。警察官数人に話しかけられたが事情を説明すると容認してもらえた。しかし俺はこんなに醜い全裸の中年男性として、どうやって生きていけばいいのだろうか。取り敢えず牧場へ訪れ牛を狩り、皮を剥いで縫い合わせて服にした。そしてそれを売った金で二十年暮らした。気付くと俺は死んだ牛でつくった服を売るファンション・ブランドのオーナーとして成功していた。俺はニューヨークに三百階建てのオフィス・ビルを建設したが、ニューヨークには死んだ牛があまりいなかったので間もなく倒産した。俺は血の滲む様な努力の後、飛行機の運転免許を取得し、ジャンボ・ジェット機で俺が建設したビル──死んだ牛タワー──に突っ込んで自殺した。