ゆるふわ日記

ゆるふわだよね。

誰かが詩を書いた時

 

 

 

誰かがクソみたいな詩を書いた時、それは何にもなれずにただこぼした牛乳の上やラーメン屋の通気口の前を通り過ぎて、誰かに踏みつけられたり唾をかけられたりしながら、たどり着いた先で骨になったり、あるいはならなかったりする。深夜三時頃の東京のどこかの道、ある青年が自転車を漕ぐ体力も失い、緩い上り坂を自転車を押しながら歩いていた。彼よりも少し先に、彼よりも更にゆっくりと自転車を押している怪しい男がいた。長髪でボロい服を着た怪しい男だ。青年は自転車を押しながら、ゆっくりと男を追い越していった。その時に青年は男の顔を見たりしなかった。もちろん話しかけたりもしなかった。男を追い越した後も振り向いたりはしなかった。東京の夜の、ある帰り道の、どうでもいい街灯の光や、何でもない匂いとか、代わり映えのない音が、そこにあったりなかったりした。