ゆるふわ日記

ゆるふわだよね。

退屈で孤独な就活日記

 

  僕は臆病者で、劣った人種だ。誰も僕のことを相手にしないし、目も合わせない。弱い人間である僕は、できるだけ他人の目に触れない様に細々と生きることしかできない。ある日、部屋でダンスを踊っていると、見知らぬ女が殴り込んできた。どうやら部屋を間違えてしまったらしい。ここは僕の部屋ではないようだ。見知らぬ女の部屋でダンスを踊っていた僕は、全裸になって土下座をしたが、女の心が狭いのか、若しくは全く教養がないのか、許してもらうことはできず、金銭を要求された。僕はアルバイトを始めることにした。僕はこの機会に真面目に生きて、社会に溶け込もうと考えていた。きちんと服を着て、オフィス・ビルの様な建物の扉を手当り次第に叩いた。そうして僕は一流企業の重役にまで昇り詰めた。手に持った紐は犬の首に繋げられていた。犬は前脚と後ろ脚を動かすことで前進しようとするが、僕は必死に踏ん張って全力で紐を後ろに引いた。すると犬の首が切断され、頭が吹っ飛んでいった。犬の頭はとあるオフィス・ビルの窓を突き破り、それが原因で僕は会社をクビになった。僕は再び無職になったが、犬の頭を取り返し、セメダインで胴体にくっつけると犬は息を吹き返した。どうやら頭と胴体の組み合わせを間違えてしまったらしく、バランスが悪いが、僕は独りじゃなくなった。しかし僕にはドッグ・フードを買う金もなく、再び仕事を探すことにした。僕はとあるホームレスのおっさんに雇ってもらった。行く宛もない僕を拾ってくれたこのおっさんはまるで神様の様だ。僕は道に落ちている空き缶を拾い集めておっさんに渡す仕事を与えられた。僕は水を得た魚の様に活き活きと仕事をこなした。生きているということを実感できるのだ。やがて僕は空き缶拾い界のプロフェッショナルとなり、世界中のホームレスにその名を轟かせた。事実、僕に拾えない空き缶などなかった。そうして二十年ほどおっさんの下で働いたがある日、給料が一円も払われていないことに気付いて自分から仕事をやめた。僕はドッグ・フードを買うことができず、いつの間にか犬は餓死していた。僕は泣いた。夜通し泣いた。一生懸命働いても、救われなかった。結局また独りぼっちになってしまった。僕は社会に必要とされていない人間なのだ。完全な孤独を突きつけられ、絶望の底に落ちた。