ゆるふわ日記

ゆるふわだよね。

2019-01-01から1年間の記事一覧

クリスマス

橙色の暖かい光が部屋の中を満たしている。お酒の瓶がずらりと並んでいて、妖艶に光ってる。ここにはクレープもあれば、ワインもある。ここにないものはきっと世界のどこにだってない。お肉をジュージュー焼いている音が聞こえてくる。きっとこんなに大きな…

多分、海を見てた

悪い夢をみてうなされながら起きた瞬間から、ピンクネオンの安っぽいホテルから一人で出てくる女をぶん殴ろうと決めていた。錠剤を二十四錠食い、タバコを二十五本吸いながらまだ見ぬ女に宛てた手紙を書いて、夜を待った。 拝啓。はじめまして。あなたにとっ…

雨のこと

ㅤ折り畳み傘じゃ全然足りない大雨の帰り道だった。電柱に少女が埋め込まれていた。 雨宿りですか、と僕は聞いた。違います、と少女は答えた。何となく僕は家に帰りたくない気分だったので、しばらくそこにいることにした。 朝から降り続く雨はそこかしこに…

五月病

私は五月病ではありません。五月病は完全に治癒しました。 私は五月病ではないのです。前述の通り、私は五月病ではありません。私を五月病だと言う人は、私の命を狙う暗殺者です。この間、交通事故で他人が死にました。あれも暗殺者の仕業です。しかし私は死…

丸山という男

僕の友人に丸山という男がいるんですが、こいつがまたひどいんですよ。何ていうか、頭がおかしいんです。気が狂ってて、完全に倫理観が崩壊してるんです。自分以外の個体の気持ちが全くわからない奴で、その時の感情でしか行動しないんです。眠いから寝る、…

誰かが詩を書いた時

誰かがクソみたいな詩を書いた時、それは何にもなれずにただこぼした牛乳の上やラーメン屋の通気口の前を通り過ぎて、誰かに踏みつけられたり唾をかけられたりしながら、たどり着いた先で骨になったり、あるいはならなかったりする。深夜三時頃の東京のどこ…

呼吸する低体温シンドローム

クラゲをベランダで飼うのが流行った頃、ピンクのジンジャーエールはまさにシベリア出兵のそれでした。消しゴムでつくった冬ですが、風化した夕暮れがあなたの胸の中でずっと消え続けているわけです。少女の出産にも似たラーメンスープの味が、短冊に雪を降…