ゆるふわ日記

ゆるふわだよね。

2017-01-01から1年間の記事一覧

腐ったアイスクリーム

本日五度目の朝飯を食いながら窓の外に中指を立てていると、ランドセルを背負った少女が右端からフレーム・インしてきた。同じ少女が左端から右端へと流れてゆくのを二度目の朝食の時に見ていたので、少女がゆっくりと往復、ないし単振動をしているというこ…

理想の彼女

彼女はステンドグラスを通った色とりどりの光を全身に浴びながらステンドグラスの破片を全身に浴びた。彼女は死んだが、彼女の死を誰も悲しまなかった。彼女はファミレスに大型犬の死体を持ち込んだ日から精神科に通わされていた。彼女は日頃から全身にマー…

キリン

世の中には様々なキリンがいる。 失恋して涙を流しながら餃子を焼いて余った皮を横断歩道に描いてある白い線の上に等間隔に並べなるべく白線の内側を通るように自動車を運転しボールを追いかけてきた子どもを正確に轢き殺し対向車が直進してくるタイミングに…

9月2日

これは日記なので当然毎日更新され、その日にあった出来事が記録されるものである。 9月2日 ひとりでビアガーデンに行った。田舎の小さなホテルの屋上で夏季のみ営業しているようだ。「アサヒビール」「一番搾り」などと書かれた提灯が柵と壁に無造作に張り巡ら…

流れて

イルカはあんなに可愛いのにどうして肉食なのだろう。彼は長い本を読み終えて、明日のランチの約束に寝坊しないか心配しながら自身の部屋、足の踏み場もないほど散らかった部屋のベッドに。それにしても海のある街に住みたかった。悪趣味な配色のカーテンを…

溶けて

あまーいコーヒーびしゃびしゃ白いシャツはまっくろ脳内ドミノ倒しで綺麗な貝殻太陽が反射してきらきら泥の中すいすい泳ぐ子猫が森で熊と踊る血だらけで散々浜辺をてくてく歩くなんて風景が瞼の裏に押寄せてぐらぐら君とひとりで風鈴の音が響くりんりん爆音…

八月のゆるふわ日記

杖をついた老婆が横断歩道を渡っているのが見えたので私はアクセルを限界まで踏み込んで轢き殺した。完全なる正当防衛であった。老婆は私の視界に入り、私を殺そうとするのだ。老婆の肉片は野良犬が食べるので問題ない。しかし野良犬は私の愛車にこびり付い…

花屋の小娘を撲殺しよう。透明な花瓶がそう言った。海に面した花屋にはたくさんの花が並んでいる。軒先のビニールでできた屋根がつくる影にも入りきらないくらいのたくさんの花だ。黄色いのや、紫色の、青いのや、なに色でもない色の、様々な色の花が、様々…

不味い麺を啜りながら

行きつけのラーメン屋で微塵の興味もない野球中継を眺めながら伸びきった麺を啜る。金曜の夜だ。隣に座っていた知らない髭面のおっさんが話しかけてきた。俺の食ったラーメン代、払っといてくれ。そいつはそう言ってからのそのそと店を出ていった。俺は残り…

退屈で孤独な就活日記

僕は臆病者で、劣った人種だ。誰も僕のことを相手にしないし、目も合わせない。弱い人間である僕は、できるだけ他人の目に触れない様に細々と生きることしかできない。ある日、部屋でダンスを踊っていると、見知らぬ女が殴り込んできた。どうやら部屋を間違…

ニューヨーク・ドリーム

シャボン玉が時速二百キロで射出され、爆発し、街に住む二十万の人間が死んだ。テレビのニュースでも大きく報道され、新聞の一面を飾った。「シャボン玉、爆発」次のページを開くと馬鹿げた四コマ漫画が載っていた。一コマ目で人間が死に、二コマ目で人間が死…

かわいいネコ

「死ぬから。本当に死ぬから」彼女はそう言ってから電話を切った。俺はゲーセンで三十分ほど時間を潰してから彼女の家に向かった。生きている彼女と会話するのはクソ面倒だが、どうせなら彼女の死体は見ておきたい。そうして俺は無事彼女の死体と対面すること…

食事

ゴミ溜めで寝ているおっさんがかわいく見えた。その頃の僕といったら虐殺しかすることがなかった。おっさんは毎日ゴミ溜めで寝ている。僕が住んでいるのが二丁目でおっさんが寝ているのは三丁目だ。三丁目に住む人たちがゴミを捨てるところにおっさんは寝て…

幼女は爆発せよ!

幼女が爆発して散乱した!奇跡的な体験だ!神に感謝しよう!目の前で起きたこの奇跡に!幼女は爆発しました!まっ透明な肌と生まれた時から明い色の髪!焼け焦げてまっ黒くなって!爛れて燃えて、散乱する!綺麗な目ん玉飛び出してな!かわいいワンピースも…

濡れる

重い空気、頭痛、冷気、窓のくもり、水滴。犬は犬小屋へ。暗い。うねった髪の毛。建物の中へ駆け込む者達。脳を介さず通り抜ける言葉。眠気。机に、手すりに、窓枠に掛けられた傘。床に横たわる、あるいは円筒状に詰められた何本もの、傘。溜まるもの、貼り…

面白いラジオ

あの人ったら、急に頭のネジが外れて、実況のないラジオ競馬が聴きたいとか言い出して、チャンネルはニッケイに合わしてな、それから音量をゼロにしてそんでイヤホン耳に突っ込んでしばらくは目つむって集中してたんやけど、今度はだめだとか負けたとか騒い…

食べられる野菜リスト

枝豆 スイカ メロン イチゴ ポップコーン フライドポテト ポテトチップス カボチャプリン キャベツ太郎

きみ

フォークがあって、その四つある先端のうち、いちばん右側の先端で、とうもろこしの粒をひとつずつ刺して、ひとつずつ食べるきみがある。きみといったら肉塊の、その牛だか豚だかの肉塊の、その上に乗っかってる、というかもたれてる、というかだらしなく寝…

終夜列車が降る

終夜列車が降る。透明な瓶の透明じゃない部分で惑星を叩く。雨は少しあなたを濡らした。月は路肩に落ちている。別れがあなたの口から漏れた日に。終夜列車は降った。わたしをすこしかすめて。空のずっと向こうの方から。ただ無数の悲しみを連れて。消えるこ…