ゆるふわ日記

ゆるふわだよね。

ストロベリー・ショートケーキ・スイート・ラブ・ストーリー

 

 

 

僕は老婆への脳姦でしか射精できない人間だが、恋くらいしたっていい。ケーキ屋の女はワインみたいな色の瞳をしていて、常に笑顔でいる。僕が買ったケーキを素手で持ち帰ったり、店の前で捨てたりしてもずっと笑っている。他人の笑顔をほとんど見た事がない自分には奇妙な光景だった。僕は毎日そのケーキ屋でタバコを注文するのだが、いつも売り切れで買えたことが一度もない。だから僕はここに通うようになってから全くタバコを吸えていない。全てあの女のせいなのだ。僕は毎日ケーキ屋に通いながら女に対する憎悪とそれに付随する不可思議な感情を大きくしていった。女は僕を馬鹿にして笑っている。ケーキがタバコの代わりになるはずがないのだから。月が満ちかけて乾いた夜に、やたらと街が浮ついて、電球が木々を飾り、絶えぬベルの音や、肉の焼ける匂いで溢れていたからあの日はきっとクリスマスだった。いつものケーキ屋には大勢の客がいた。女は赤い服を着ている。僕は人々を押しのけていつものようにタバコを注文した。するとその日の女はポケットから裸のタバコを15本取り出し僕の手の上に置いた。いつものようにワイン色の瞳をして笑っている。僕はすかさず女を殴り、ケーキと一緒に連れ去った。人は恋に落ちる時、脳を見たいと思うのだ。家に連れ込み、何度も女を殴った。生きているかはわからない。恋に生死は関係ないのだ。まず眼球を取り出しワイングラスに注いで飲む。女の頭を割り、脳を取り出す。僕はこの無限の快楽で永久の幸福を手にすることができると信じていた。しかし女の脳に陰茎を挿入しても、予感していたような快楽を得ることはできなかった。その脳には美が欠落していて僕を幸福せしめるのに十分な密度を持っていなかった。一瞬にして絶望の底に落ちた。僕は血まみれの脳を握り潰してケーキの上に乗せた。それから久しぶりのタバコに次々と火をつけ、一度吸ってからケーキに差していった。美とはまさしく甘い絶望で、恋というものはとにかく甘くて幸せなものなのだ。ちょっぴり苦味があるけれど、甘く甘くあるべきなのだ。僕はその日初めてショートケーキの中で射精した。女の脳が混ざった甘い甘い恋するショートケーキは老婆の脳に似てて腐り切っていて絶望まみれでスカスカでグチャグチャでキショいのだ。